感染と消毒 2018 Vol.25 No.1 p.16-22
解説
Antimicrobial stewardshipを考える
長尾 美紀
2016年,日本政府は薬剤耐性菌(AMR)アクションプランを打ち出し国をあげて対策に取り組む姿勢を明確にした.AMR対策には①「患者への抗菌薬の使用を適切に行い,薬剤耐性菌をうみださないための対策(つくらない)」および②「薬剤耐性菌を有する患者(保菌・感染)から,保菌していない患者へ拡げないための対策(拡げない)」の2つがある.抗菌薬適正使用支援(Antimicrobialstewardship:AS)は②耐性菌を“つくらない”ための対策の中心であり,各医療機関はまずはASを実践するためのチーム(抗菌薬適正使用支援チーム:AntimicrobialStewardshipTeam:AST)とASを具体的にどのように行うかの指針(抗菌薬適正使用支援プログラム:ASP)を整備する必要がある.本稿では,平成30年4月にはじまる抗菌薬適正使用加算の枠組みの中で,どのようなASTを組織しどのようなASを実践するべきなのかを解説した.