感染と消毒 2018 Vol.25 No.1 p.27-32
入門講座
消毒法の基礎知識:非結核性抗酸菌症の基礎と臨床 ―感染源対策・感染管理を含めて― 伊藤 穣
伊藤 穣
国内の非結核性抗酸菌(nontuberculousmycobacteria,NTM)症の患者数は近年増加傾向で,頻度の高い菌種はMycobacterium.avium,M.intracellulare,M.kansasii,M.abscessusである.バイオフィルム形成するNTMは,消毒薬や抗菌薬に抵抗性を示し,紫外線,高温,低酸素,酸性条件下にも生存可能である.水や土壌などの環境中に生息し,飲料水やシャワーヘッド,庭土などの生活環境からの菌分離,ヒトへの感染が報告されている.院内環境でも透析施設内を含めた給水,内視鏡やその洗浄水などへの菌混入がみられ,汚染された加湿器や人工心肺装置の冷温水槽から感染した事例もある.NTMに対する院内感染管理には環境感染管理のガイドラインを遵守した水環境の整備を行うこと重要である.