感染と消毒 2018 Vol.25 No.2 p.15-21
解説
人工呼吸器関連肺炎と人工呼吸器関連事象
志馬 伸朗
人工呼吸器関連肺炎(VAP)は,48時間を超えて人工呼吸中の患者に発生する細菌性肺炎を指し,頻度や致死率の高い重要な感染性合併症である.VAP予防には早期の抜管が最も重要である.カフ上部吸引孔付きチューブの使用や,頭高位による管理も奨められる.複数の予防策をまとめて適用するバンドルアプローチが有益とする意見があるが,バンドルの内容は確立していない.VAPサーベイランスは精度の低さが問題であり,この代わりに人工呼吸中の患者の低酸素性事象を客観的にサーベイランスする人工呼吸器関連事象(VAE)サーベイランスが提唱されているが,その意義は確立していない.