感染と消毒 2018 Vol.25 No.2 p.54-58
医療の現場から
多面的戦略の一つとしての手指衛生モニタリングシステムとその活用法
林 三千雄
当院では手指衛生遵守率の改善に向けて努力をしてきたが,遵守率60%を過ぎたあたりから改善が見られなくなった.そこで手指衛生向上のための多面的戦略の一つとして,手指衛生モニタリングシステム(electronicmonitoringsystem,EMS)を導入した.当院ではこれを手指衛生のトレーニングマシンとして位置づけ,一定期間病棟に貸し出す形で使用している.EMSを導入すると,個人間の遵守率のばらつきが改善され,3カ月弱で遵守率90%程度まで向上することが可能である.またEMSを経験した病棟では手指衛生に対しての強い意識付けが起きており,EMS終了後も病棟自ら遵守率測定を行う(セルフモニタリング)などの取り組みにより,高い遵守率を維持している.