感染と消毒 2018 Vol.25 No.2 p.65-70
感染制御に現場から一言
薬剤師に求められるASTと抗感染症薬の適正使用支援の役割
浜田 幸宏
薬剤耐性(antimicrobial resistance;AMR)を巡っては,WHOが2011年に世界的な取り組みの必要性を唱えたことを契機に国際的な議論が起こり,2015年の世界保健総会では「AMRに関するグローバル・アクションプラン」が採択された.同プランは加盟各国に対し,2年以内に自国の行動計画を策定するよう求めており,これを受ける形で日本でも2016年4月に「AMR対策アクションプラン」が公表された.この行動計画は大きく6項目に分かれており,(1)普及啓発・教育,(2)動向調査・監視,(3)感染予防・管理,(4)抗微生物薬の適正使用,(5)研究開発・創薬,(6)国際協力の6項目すべてが耐性菌対策にとって必須の事項であり,1つでも欠落してしまえば達成が困難になる.薬剤師として,特に(4)の抗微生物薬の適正使用は,有効性・安全性のみならず,耐性菌の抑制において極めて重要であり,薬剤の選択から投与法・投与量の決定まで理論的な判断がますます求められる.