感染と消毒 2019 Vol.26 No.1 p.3-9
総説
本邦におけるAMRの取り組み
田辺 正樹
近年,抗微生物薬に対する薬剤耐性(Antimicrobial resistance,AMR)が世界的な問題となっていることを受け,世界保健機関(World Health Organization,WHO)は2011年の世界保健デーのテーマとしてAMRを取り上げ,“No action today,no cure tomorrow(今日行動しなければ,明日の治療法はない)”と呼びかけた1,2).2015年5月の世界保健総会において,「AMRに関するグローバル・アクション・プラン」が採択され,WHOの加盟各国は,2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することなった3,4).日本においては,国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議において検討がなされ,今後5年間で実施すべき事項をまとめた「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が2016年4月5日に発出された5).本稿では,日本における院内感染対策・AMR対策の経緯,AMR対策アクションプランの概要と現状について概説する.