感染と消毒 2019 Vol.26 No.1 p.31-38
特別講座
麻疹・風疹の流行
多屋 馨子
2015年3月27日に世界保健機関(WHO)西太平洋地域麻疹排除認証委員会から日本の麻疹排除が認定されてから4年,海外からの輸入例を発端に地域的な集団発生は見られるものの,予防接種率の上昇と迅速な対応により排除の維持が達成されている.一方,2020年度までに日本における排除を達成することが目標である風疹は,2018年夏から5年ぶりに成人男性を中心とした全国流行が認められており,その対策は急務である.本稿では,これら2疾患の特徴,発生動向,排除の維持あるいは排除達成に向けた取り組みについて,現状の課題とともに記述する.