感染と消毒 2019 Vol.26 No.1 p.50-54
医療の現場から
地域包括ケアシステムの構築と感染対策
高山 義浩, 宜野座 智光
地域包括ケアシステムの推進とともに地域で求められる感染管理も複雑化してきている.居宅療養では,様々な事情を総合的に判断して,とるべき感染管理の落としどころを探す必要がある.できる範囲で対策を心がけていただければゴールだと考える.高齢者施設では,標準予防策を徹底させることから始め,感染経路別予防策を定着させ,アウトブレイク時の指針を策定する.感染対策担当者を選任し,感染対策委員会を設置し,施設内で感染症サーベイランスを運用できるとよい.回復期病院では,リハビリテーションと共用スペースの感染管理が重要である.ただし,生活復帰のためのリハビリテーションを優先し,他の患者への安全対策とのバランスを個別に検討する必要がある.高齢者自身の視点で感染対策の内容を検討し,自律した生活のなかで豊かに暮らせるように支援したい.