感染と消毒 2020 Vol.27 No.1 p.3-11
総説
オリ・パラ東京開催とインバウンド感染症
藤田 次郎
東京オリンピック・パラリンピックは,新型コロナウイルスのパンデミックで1年延期となったが,このような催しをMass gatheringsと表現し,これに対応する医療がMass gatherings medicineである.インバウンド(訪日外国人旅行)が増加すると,それに伴い様々な感染症が日本国内に流入するリスクも増える.沖縄県は観光立県であり,アジアの玄関でもある.このような中で,我々が沖縄県で経験した2009年のインフルエンザA(H1N1)pdm09,2018年の麻疹ウイルスなどのインバウンド感染症を紹介しつつ,わが国の現状と課題を概説する.また2020年1月以降,武漢からの新型コロナウイルス感染症が世界中に拡散している.インバウンド感染症対策として求められるのは,正確,かつ迅速な感染症診断である.