感染と消毒 2020 Vol.27 No.1 p.18-23
解説
インフルエンザ
関 由喜, 菅谷 憲夫
日本のインフルエンザ診療は迅速診断検査と抗インフルエンザ薬の登場により急速に進歩した.世界を見ても,患者の多くが発症から48時間以内に医療機関を受診し,インフルエンザが疑われればほぼ全員が迅速診断検査を受け,陽性であればほとんどすべての患者が抗インフルエンザ薬を処方されているのは日本だけである.一方で,予防の基本であるインフルエンザワクチンに関しては先進国と比較して遅れている.諸外国では流行シーズン中に公的機関がTest-negative法を用いて,当該シーズンのワクチン効果を報告し,臨床に還元している.本稿では,インフルエンザワクチンの効果と治療について説明する.