感染と消毒 2020 Vol.27 No.2 p.48-52
入門講座
微生物の基礎知識:感染症の次世代迅速検査
賀来 敬仁
従来の微生物検査では薬剤耐性菌と判定されるまで数日を要していたため,患者背景などから薬剤耐性菌であるかを推定していたが,ESBL産生菌,CPE,CA-MRSAなど院内だけでなく市中でも広がっている薬剤耐性菌が増えてきていることから,それが難しくなってきている.近年,MALDI-TOF/MSや全自動遺伝子検査システムなど迅速に菌種の同定および薬剤耐性の判定が可能な次世代迅速検査が登場している.いずれも非常に有用な検査であるが,限界もあるため,塗沫検査や培養検査など従来の微生物検査と組み合わせて使用することが重要である.