感染と消毒 2021 Vol.28 No.1 p.60-65
感染制御に現場から一言
塗抹検査(グラム染色など)を 活用した感染症診療
山本 剛
グラム染色は微生物を選択的に染める検査であり,検査材料中に微生物が存在するかどうかの確認にも用いることができる検査である.そのため,感染症の確認や微生物が確認された場合はその種類を推定して疾患の鑑別に充てることができる.検査にかかる時間が短く,複数菌が同時に感染した場合でも確認ができるメリットを持っているが,微生物が確認されない場合は感染症を否定できる所見とも取れることがある.症状があるから漫然と広域抗菌薬の投与を継続することなく,疾患や原因微生物に合わせた適切な治療を行うためにグラム染色は感染症診療に大きな役割を持っている.