感染と消毒 2021 Vol.28 No.2 p.9-16
総説
皮膚感染症(リケッチア,紅斑熱)
石田 景子, 細川 直登
リケッチア症は,ダニ,ノミ,シラミなどに媒介される「発熱,頭痛,発疹」を主要三徴候とする疾患である.日本においては,ツツガムシ病と日本紅斑熱が主なリケッチア症である.世界では地域により様々なリケッチア症が存在するため,流行地域への渡航者の発熱の鑑別にも挙がる.臓器特異的な感染徴候を示さず、血清学的または遺伝子学的検査で確定診断を行うため,疑わない限り診断は困難である.正確には皮膚感染症ではないが、皮疹をきたすものが多く,本項では日本で見られる頻度の高い日本紅斑熱とツツガムシ病を中心に臨床像や治療,予防について解説する.