感染と消毒 2022 Vol.29 No.1 p.23-27
入門講座
消毒法の基礎知識:環境消毒薬の評価指針
尾家 重治
環境消毒薬の評価指針が,2020 年に日本環境感染学会から出た.わが国では初となる環境消毒薬の評価指針である.本指針では消毒効果を殺細菌,殺ウイルスおよび殺芽胞の3つに分けており,効果判定法としてサスペンジョン試験やサーフェス試験があげられている.Pseudomonas aeruginosa ATCC15442 などの細菌を4log10 以上減少させれば殺細菌効果あり,Feline calicivirus F9 などのウイルスを3log10 以上減少させれば殺ウイルス効果ありと判定する.一方,Clostridioides(旧名称Clostridium)difficile ATCC9689などの芽胞を3log10以上減少させれば殺芽胞効果ありと判定する.本指針の作成により,環境消毒薬の効力の比較・評価が可能となった.