感染と消毒 2023 Vol.30 No.2 p.51-54
トピックス
歯科領域におけるインプラント周囲炎
立川 敬子
歯科インプラントは,インプラント体が歯槽骨という組織内すなわち「生体の内部」に存在し,粘膜上皮(歯肉)を貫通して口腔という「生体の外部」に突出して機能している人工物である.この粘膜貫通部に生じる炎症は,粘膜のみに限局したインプラント周囲粘膜炎と骨内へと進行したインプラント周囲炎に分類される.インプラント周囲疾患の主な原因としては,歯周病と同様,細菌感染があげられている.インプラント周囲炎に関わるリスクファクターとしては,口腔衛生状態の不良,歯周炎の既往,喫煙,糖尿病,角化粘膜の不足,インプラント体の表面性状,などが考えられている.