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mRNAワクチンの作用機序とmRNA医薬の未来

2024 Vol.31 No.1 目次

感染と消毒  2024 Vol.31 No.1 p.14-21 

解説
mRNAワクチンの作用機序とmRNA医薬の未来
劉 凱文,小檜山 康司,石井 健

メッセンジャーRNA(messenger ribonucleic acid,mRNA)ワクチンが新型コロナウイルス感染症の感染拡大と重症化予防の手段として世界中で接種された.従来の不活化ワクチンやサブユニットワクチンと異なり,抗原タンパクそのものは含まれていないものの,抗原をコードするmRNA を接種し細胞へと導入することで,細胞内のリボソームによって抗原が翻訳され,免疫細胞へと提示されることで,ワクチンとしての効果を発揮する.mRNA のみならず,ドラッグデリバリーシステムとして用いられている脂質ナノ粒子も自然免疫応答を活性化することでアジュバントとして働き,ワクチンの効果を高めている.そのため,mRNA ワクチンは従来のワクチンと比べ短期間で開発が可能なだけではなく,強い液性免疫応答(抗体産生)や,細胞免疫応答も誘導することが可能であった.本稿では,mRNA ワクチンを実現させた技術と,これまでに明らかとなっているmRNA ワクチンの免疫応答の詳細な機序等について解説する.


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