感染と消毒 2024 Vol.31 No.1 p.35-37
医療の現場から
緩和ケア病棟の感染対策
吉村 真弓
1973 年(昭和48 年)に当院で開催された,日本で最初の末期がん患者へのチーム・アプローチとされるOCDP(The Organized Care of the Dying Patient)が淀川キリスト教病院におけるホスピス活動の始まりである.その後末期がん患者へのケアの提供には専門の病棟が必要であると認識した当時の医師・職員らによって,1984 年(昭和59 年)4 月にホスピス病棟が完成した.当時の日本のホスピスケアは欧米とは大きく異なる文化・医療環境のなか,癌告知の問題や家族に対する援助,チーム医療の導入など,多くの課題があり,ひとつずつ課題解決に取り組み,基礎を作り上げ,国内におけるホスピス・緩和ケアの考え方を確立されていったのである.こうした緩和ケアの歴史を持つ当病院であるが,在院される患者様を感染症から如何に守るかに取り組んでいる.その一端を紹介する.