感染と消毒 2024 Vol.31 No.2 p.3-11
総説
注意すべき輸入感染症とその対策 ―感染症クイック・リファレンスの活用―
中村(内山)ふくみ
今後開催される国際的マスギャザリングイベントを控え,海外から持ち込まれる感染症に対する準備が必要である.輸入感染症診療の基本は,症状+渡航先+潜伏期から鑑別疾患を考えることであり,また現地での活動や曝露歴,感染症流行状況などの情報を加味することで精度を上げることができる.さらに症状から感染症 / 病原体を予測してあらかじめ感染対策を行う経験的症候群別予防策が重要である.このような基本知識を,実診療で素早く活かすツールとして感染症クイック・リファレンスは有用である.日頃から輸入感染症に関する知識・情報を収集し,それを実臨床,感染対策に活かせるようにしておくことが重要である.