感染と消毒 2024 Vol.31 No.2 p.34-37
入門講座
消毒法の基礎知識:SSI防止対策の最近の話題 ―創傷部位の消毒法を含めて―
針原 康
安全で,質が高く,かつ適正なコストの外科医療を提供するためには,SSI 防止対策を含めた周術期感染対策について,十分な体制を整えることが必要である.具体的な対策としては,術前の術野皮膚消毒薬について,ガイドラインではアルコール含有製剤の使用が推奨されているが,実際の選択に当たっては,本邦で使用可能な薬剤の中から,殺菌活性と可燃性などの危険性を考慮して総合的に判断するのが適当である.閉創時に創部皮下洗浄を行うことで,SSI が減少することが報告されているが,洗浄液としてポビドンヨード含有液を使用することが提案されている.術後の創部消毒については,閉創後 48 時間以降は基本的に必要ないと考えられている.