感染と消毒 2024 Vol.31 No.2 p.46-50
医療の現場から
臓器移植手術の術後感染症予防 ― 特に肝臓移植について
赤松 延久
臓器移植において免疫抑制は必須であり,臓器不全を伴う易感染性の宿主に対して免疫抑制下の感染症対策が非常に重要である.特に肝移植レシピエント移植後感染症のリスクが高く,細菌,ウイルス,真菌多岐にわたる.複合感染が多いことも特徴であり,早期発見,早期治療が最重要であり,時に予防的治療を行う.臓器移植後の感染症を感染経路によって分類すると,外科的処置に関連する感染,術前からレシピエント自身が有する感染の再燃,免疫抑制剤療法に伴う免疫力低下によって引き起こされる日和見感染や潜伏感染の再活性化がある.