洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

現在、清掃後に使用したモップを色ごとに0.05%の次亜塩素酸ナトリウムに30分浸漬後色ごとに洗濯機にて洗浄、乾燥させています。「消毒液により汚れをコーティングしてしまったり消毒効果が低下したりする事もあることから、洗浄で汚れを落としてから消毒・滅菌するのが基本」という話を聞きましたが、現在の方法で問題ないか見解を教えて頂きたいです。(Y.I.)

次亜塩素酸ナトリウムを使用してモップを消毒する場合は、事前に軽く汚れを除去し、洗濯機で洗浄した後に消毒薬に浸漬すると効果的です。使用後のモップをそのまま薬液に浸漬すると、モップに付着した有機物により消毒薬の殺菌効果が低下し、期待する効果は得られません1,2)

モップの消毒方法には、熱(水)消毒と消毒薬を使用した消毒が挙げられます。お使いの洗濯機が、熱水洗濯機のような機能が備わったものであれば、効果や費用面から第一選択として80℃、10分の熱水消毒をお勧めします3)

通常、床は皮膚や粘膜とほとんど接することのない、病原微生物が伝播されることの可能性は低いと考えられ、感染の危険度からはノンクリティカルに分類されます1-3)。よって、床清掃に使用するモップは、ノンクリティカル器材に対する消毒を考え、低水準消毒薬を選択します。両性界面活性剤や第四級アンモニウム塩などを使用した洗浄と消毒、その後しっかり乾燥させる方法がありますので、ご検討ください。

一方、血液、体液、分泌物または排泄物で汚染されたノンクリティカル器材は消毒すべきと推奨されています1)。このときの感染性をウイルスまで考慮すると、中水準消毒薬による消毒が必要になります。また、特定の病原体が検出された区域にモップを分けて使用しているような場合は、病原体をターゲットにした消毒薬を選択し、消毒されるとよいです1,3)

なお、いずれの方法においても、汚染したモップの仕分けや洗浄前の処理など行うため、作業者の方はマスク、手袋、汚染する範囲によってエプロンあるいはガウンの着用を行い、作業者の安全と交差感染防止に努めてください。

引用文献
  1. CDC:Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007
    https://www.cdc.gov/infectioncontrol/pdf/guidelines/isolation-guidelines-H.pdf
  2. CDC:Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities 2008 Update: May 2019.
    https://www.cdc.gov/infectioncontrol/pdf/guidelines/disinfection-guidelines-H.pdf
  3. 大久保憲,尾家重治,金光敬二:2020年版消毒と滅菌のガイドライン.へるす出版.2020.

岡﨑 悦子(横浜市立脳卒中・神経脊椎センター 医療安全管理室 副室長)
2023年04月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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