洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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喉頭鏡のブレードはセミクリティカル器具と認識していますが、ICDテキストなどにはアルコール消毒とあります。滅菌は必要ですか。(Y.M.)

喉頭鏡のブレードは口腔内の粘膜と接触するため、スポルディング分類ではセミクリティカル器具に分類されます。クリティカル器具(皮膚や粘膜を穿通、もしくは生体の無菌域に接触する)ではありませんので、滅菌の必要はありません。

セミクリティカル器具の処理について、基本的な考え方を示します。高水準消毒が必要なことから、洗浄後に高水準消毒薬を用いた処理もしくは熱水消毒が行われます。セミクリティカル器具の一部、例えば口腔に用いる体温計等は中水準消毒を行います。
また、セミクリティカル器具であっても、耐熱性で高圧蒸気滅菌が可能な器具の場合は、高水準消毒薬を用いた消毒処理より「高圧蒸気滅菌」を選択することもあります。高水準消毒薬の使用と比較し、高圧蒸気滅菌は簡便且つ効果が確実、従事者の化学曝露も回避できる方法です。

以上の基本的な考え方に基づき、喉頭鏡のブレードの処理方法を考えます。最も適しているのは、熱水消毒(80℃、10分間)です。ウォッシャーディスインフェクター等による熱水消毒は残留毒性がなく、消毒薬に比べて消毒効果が確実ですし、従事者の安全性も高い方法です。また簡便な方法として、アルコール清拭(消毒用エタノール等)による処理も可能です。その場合は、十分な洗浄をした後に水分を除去し、アルコール清拭による消毒を行います。十分に洗浄した後に高圧蒸気滅菌する方法もあります。
喉頭鏡のブレードの構造(電球の有無等)や素材によって、適した処理方法がありますので必ず取扱説明書を確認しましょう。一般的に電球のついたタイプは熱水消毒ができないことが多く、薬剤による消毒を行います。ファイバータイプは熱水消毒が可能なものが多いです。

臨床現場での器具の処理方法は、"最低限必要な処理レベル" 以上を達成する方法で行います。その器具の運用面、自施設の設備等、簡便性、従事者の化学曝露の回避などの安全面、経済性等を考慮した上で取決め、確実に実施しましょう。


小野 和代(東京医科歯科大学 統合診療機構 機構長補佐・
医学部附属病院 医療安全管理部GRM・認定看護管理者 感染管理認定看護師)
2023年05月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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