イノバン等のシリンジ製剤の低流量投与では、混注(ミキシング)は行いません。したがって、これらのシリンジ製剤を新しいものに毎日交換する必要性はありません。交換は、3日ごとなどの静脈留置針の刺し換えやルート(輸液セット)交換時のみで差し支えありません1)。
図1にイノバン0.1%注射液での Burkholderia cepacia(セパシア菌)の動態を示しました。本図から、イノバン注射液中のセパシア菌は48時間後には増殖を示すことが分ります。すなわち、セパシア菌などの汚染菌がイノバン注射液に混入すると、その後の増殖により感染症発症の危険性が高まります。
したがって、混注を行ったイノバン注射液の場合には、24時間までの投与とするのが望ましいです。もし24時間を超えて投与を行うのであれば、インラインフィルタ(メンブランフィルタ)付きのルート(図2)の使用が勧められます。
図1. イノバン0.1%注射液でのBurkholderia cepacia の動態(30℃)〔回答者 原図〕
図2. インラインフィルタ(メンブランフィルタ)付きの末梢ルート
- 参考文献
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- O’Grady NP et al: Guidelines for the prevention of intravascular catheter-related infections.Am J Infect Control. 2011; 39: S1-34.
尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2014年03月