洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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血液培養採取時の皮膚消毒ですが、アルコール綿で皮脂を除去後『ポビドンヨードで2回消毒』が一般的ですが、『ポビドンヨードで2回』から『1%クロルヘキシジンアルコールで1回』に変更を考えています。2回消毒は必ず必要でしょうか。(Y.F.)

2回の消毒は必ずしも必要でありません1)。血液培養採取時の皮膚消毒には、貴院で予定されている「アルコール綿で皮脂の除去後に、1%クロルヘキシジンアルコールで1回の消毒」で良いです。

血液培養の偽陽性率は、ポビドンヨードでの消毒に比べて、0.5~1%クロルヘキシジンアルコールやヨードチンキでの消毒のほうが低いことが判明しています2~4)。しかし、ヨードチンキは毒性が高いので、その使用は勧められません。したがって、血液培養時の皮膚消毒には0.5~1%クロルヘキシジンアルコールが望ましいといえます。とくに、1%クロルヘキシジンアルコールが勧められます4)

なお、1%クロルヘキシジンアルコールのおもな副作用は適用部位のかゆみであり、その頻度は2.6%と報告されています。また、クロルヘキシジンにアレルギーを示す患者には、1%クロルヘキシジンアルコールの代わりに、63vol%エタノール含有ポビドンヨードが勧められます5)

参考文献
  1. Wong PY, Colvile VL, White V, Walker HM, Morri RA: Validation and assessment of a blood-donor arm disinfectant contanining chlorhexidineolled and alcohol. Transfusion 44:1238-1242,2004.
  2. Mimoz O, Karim A, Mercat A, et al: Chlorhexidine compared with povidone-iodine as skin preparation before blood culture. A randomized, contr trial. Ann Intern Med 131, 834-837,1999.
  3. Little JR, Murray PR, Traynor PS, Spitznagel E: A randomized trial of povidone-iodine compared with iodine tincture for venipuncture site disinfection: effects on rates of blood culture contamination. Am J Med 107: 119-125, 1999.
  4. Strand CL, Wajsbort RR, Sturmann K: Effect of iodophor vs iodine tincture skin preparation on blood culture contamination rate. JAMA 269: 1004-1006, 1993.
  5. Pratt RJ, Pellowe CM, Wilson JA, Loveday HP, Harper PJ, Jones SR, et al: epic2: National evidence-based guidelines for preventing healthcare-associated infections in NHS hospitals in England. J Hosp Infect 65S: S1-S64,2007.

尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2014年06月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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