洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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持続点滴の場合、MRIやストレッチャー浴などで一時的に点滴ルートを外す(先端に無菌の注射針を接続)場合があります。この時、点滴側(点滴やルート先端部位)は不潔になったと考えるのでしょうか?(K.Y.)

一時的に点滴ルートを外す場合、点滴側のルート先端へは滅菌済み注射針を接続する方法で問題ありません。無菌的操作を行えば、点滴側(点滴やルート先端部位)が不潔になることはありません。無菌的操作は、使い捨て手袋を着用して、その手袋を随時アルコールで消毒しながら行ってください。

ただし、脂肪乳剤(イントラリピッド®、イントラリポス®など)、プロポフォール(ディプリバン®など)、血液製剤(アルブミンなど)およびアミノ酸・糖・電解質製剤(アミグランド®、ビーフリード®など)等は微生物汚染を受けやすい薬剤です(表)1)。微生物汚染を受けると、汚染菌が急速に増殖します。したがって、これらの薬剤を投与中の点滴ルートを一時的に外す場合には、点滴側のルートを廃棄する方法がより望ましいです。

なお、点滴側のルート先端部へは滅菌済み注射針を接続する方法のほかに、滅菌済みキャップ(セイフCカニューラのキャップ部分など)を取り付ける方法もあげられます。

表. 薬液中での微生物の動態

  生理食塩液 5%ブドウ糖液 脂肪乳剤 プロポフォール アミノ酸・糖
・電解質製剤
高カロリー輸液
Stapylococcus
aureus

(黄色ブドウ球菌)
++ ++
Pseudomonas
aeruginosa

(緑膿菌)
++ ++ ++ ±
Serratia
marcescens

(セラチア菌)
++ ++ ++ ±
Burkholderia
cepacia

(セパシア菌)
++ ++ ++ ±
Candida
albicans

(カンジダ・
アルビカンス)
± ± ++ ++ ++ ++

-:減少,±:静菌的,+:増殖,++:すみやかに増殖

参考文献
  1. 尾家重治:注射剤の混注(ミキシング)と消毒.月刊薬事,55:290-297,2013

尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2014年08月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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