ポビドンヨード(イソジン®)液による熱傷様皮膚剥離の副作用についての研究はあります。中野らは、ポビドンヨード液への長時間接触に起因する浅表性の熱傷例を経験し、この症例で表皮の剥離が認められたとの報告を行っています1)。
ポビドンヨード液を患者と手術台の間に溜まるほど大量に用いて、湿潤状態で長時間にわたって患者皮膚へ接触すると、化学熱傷が生じます1~3)。この防止対策として、山口大学病院手術部では患者と手術台の間に吸水シーツ(メディマット®)を敷いて、余分なポビドンヨード液を吸収しています(図)。
一方、ポビドンヨード含有のドレープによる熱傷様皮膚剥離の副作用についての研究は見当りませんでした。しかし、ポビドンヨード消毒後に十分乾かさずにドレープを用いると、この副作用が生じる可能性があります。
図.ポビドンヨードによる術野消毒
患者と手術台の間に吸水シーツを敷く。
- 参考文献
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- 中野園子,他:ポビドンヨードによる化学熱傷,麻酔,40:812-815,1991.
- 大橋光江,他:手術中における背部紅斑に関する研究―イソジン消毒による影響―,オペナーシング,13:618-624,1998.
- Chilvers RJ, Weisz MT : Side-effects of alcoholic iodine solution (10%), Br J Anaesth, 85 : 178, 2000.
尾家 重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2015年04月