洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

皮下埋め込み型ポート穿刺時の消毒薬としてアルコール、クロルヘキシジングルコン酸塩、ポビドンヨードに対し、皮膚アレルギー反応を起こす場合、ベンゼトニウム塩化物(ベゼトン液)は、適切でしょうか?(M.O.)

ベンゼトニウム塩化物(ベゼトン液)は適切です。 皮下埋め込み型ポート穿刺時での皮膚消毒には、アルコールがもっとも適しています。すみやかに抗菌効果を発現して、かつすみやかに揮発するからです。

しかし、アルコールに皮膚アレルギーを示す患者には、ポビドンヨードやクロルヘキシジングルコン酸塩を選択します。しかしながら、ご質問ではポビドンヨードやクロルヘキシジングルコン酸塩も使用不可ということですから、第四級アンモニウム塩(ベンゼトニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物)が選択薬剤になります。

第四級アンモニウム塩は皮膚や粘膜への耐容性に優れています。また、陽イオン界面活性剤である本薬では、汚れの除去効果も期待できます。一方、本薬の含浸綿は細菌汚染を受けやすいので(図)、調製後は24時間までの使用とする必要があります1-6。また、滅菌済みで個包装のベンザルコニウム塩化物含浸綿が発売されていますので、細菌汚染を防止するという観点からこれらの個包装製品の使用も勧められます。

図. 0.02%ベンザルコニウム塩化物含浸綿のPseudomonas fluorescens汚染例

参考文献
  1. Oie S, et al: Microbial contamination of antiseptic-soaked cotton balls. Biol Pharm Bull, 20: 667-669, 1997.
  2. Oie S, et al: Microbial contamination of antiseptics and disinfectants. Am J Infect Control, 24: 389-395, 1996.
  3. Oie S, Kamiya A: Bacterial contamination of commercially available ethacridine lactate (acrinol) products. J Hosp Infect, 34: 51-58, 1996.
  4. Olson RK, et al: Cluster of postinjection abscesses related to corticosteroid injections and use of benzalkonium chloride. West J Med, 170: 143-147, 1999.
  5. Nakashima AK, et al: Survival of Serratia marcescens in benzalkonium chloride and in multiple-dose medication vials : relationship to epidemic septic arthritis. J Clin Microbiol, 25: 1019-1021, 1999.
  6. 西口裕,他:点滴を原因とするセラチア菌院内感染事例. Infect Agents Surveilance Report(国立感染症研究所),30: 53-54. 2009.

尾家重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2015年08月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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