血液やドレーン排液などと同様に、胸・腹水や血尿も感染性ありとして取り扱う必要があります1)。しかし、血液、ドレーン排液、胸・腹水および血尿いずれであっても、「凝固剤を使用し固形として廃棄」は必ずしも必須ではありません。
血液などを凝固して廃棄する方法は、液体のまま廃棄する方法に比べて、取り扱い者へのはね返りなどの感染リスクを低減できるメリットがあります。しかし、凝固剤の購入や廃棄にはコストがかかります。また、ご指摘のとおり、汚水槽に流した病原微生物は水で希釈されて感染性が低下します。さらに、下水処理場では活性汚泥(微生物)や塩素消毒などの処理を受けます。すなわち、汚水槽へ流した後の血液などの感染性については心配無用です。したがって、個人防護具の着用によるはね返り防止などの感染対策がなされていれば、血液などはそのまま汚水槽へ流しても問題ありません(一~三類感染症を除く2))。
- 参考文献
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- Centers for Disease Control and Prevention: Guideline for isolation precautions in hospitals. Infect Control Hosp Epidemiol, 17: 53-80, 1996.
- 小林寬伊(編著):補訂版,消毒と滅菌のガイドライン,へるす出版,2014.
尾家重治(山口大学医学部附属病院 薬剤部)
2015年10月