ハンドクリームを塗布する順番は、手指消毒剤（速乾性擦式消毒剤）の使用の前後いずれでも良いです。なぜなら、ハンドクリームやハンドローションは手指消毒剤の効力に影響を及ぼさないと推定されるからです。

ただし、ご質問の「手洗い→乾燥→手指消毒剤」をルーチンに行う方法は、手指に目にみえる汚れが付着している場合を除いて望ましくありません。なぜなら、石けんと流水での手洗いおよび手指消毒剤の使用いずれも脱脂作用を示し、これらを併用すると手荒れが生じやすくなるからです^1）。たとえ、保湿成分が含まれていても、消毒用エタノールを主成分とする手指消毒剤には脱脂作用があります。また、手指消毒剤は石けんと水洗いより効力が強いので^2,3）、併用する必要性はないからです。手指に目にみえる汚れがなければ、手指消毒剤のみの使用にとどめてください。

目にみえる汚れが手指に付着している場合には、石けんと流水での手洗いを行って、乾燥後に、状況に応じて手指消毒剤を用いてください。手指消毒剤には汚れの除去効果はありませんし、汚れた手指に手指消毒剤を用いると、汚れを塗り広げることになります^4）。

引用文献

1. Kampf G, Loffler H; Dermatological aspects of a successful introduction and continuation of alcohol-based hand rubs for hygienic hand disinfection. J Hosp Infect 2003; 55: 1-7.
2. Zaragoza M, Salles M, Gomez J, et al; Handwashing with soap or alcoholic solutions? A randomized clinical trial of its effectiveness. Am J Infect Control 1999; 27: 258-261.
3. Rotter ML; Arguments for alcoholic hand disinfection. J Hosp Infect 2001; 48: S4-S8.
4. Gould D; Hand decontamination. Nurs Times 2002; 98: 48-49.