食事の残りを次亜塩素酸ナトリウムで処理する必要性はありません。たとえ次亜塩素酸ナトリウムで処理したとしても、十分な消毒効果が得られないからです。食事の残りはポリ袋などに入れて密封して廃棄してください。
なお、「ノロウイルス患者の吐物処理は次亜塩素酸ナトリウムに浸して処理」と述べておられますが、これは適切ではありません。なぜなら、有機物(吐物など)の存在下で、次亜塩素酸ナトリウムの効力は大幅に低下するからです1,2)。吐物処理では、前もってティシュペーパーなどで吐物を除去して、その後に0.1%(1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウム清拭による消毒を行ってください。この際に、次亜塩素酸ナトリウムの代わりに、ノロウイルスに対して効力が増強したアルコール製剤(サラサイド®)なども使用可能です3)。
- 参考文献
-
- Coates D: Comparison of sodium hypochlorite and sodium dichloroisocyanurate disinfectants: neutralization by serum, J Hosp Infect, 1988; 11: 60-67.
- Coates D: Disinfection of spills of body fluids: how effective is a level of 10000 ppm available chlorine?, J Hosp Infect, 1991; 18: 319-332.
- 隈下祐一,加藤由実,高本一夫,他:ノロウイルス代替の猫カリスウイルスおよび各種微生物に有効なエタノール製剤の開発。防菌防黴 2007;35:725-732
尾家重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2016年04月