日本では日本メドトロニック社がEndosheath®という内視鏡用のカバー(以下シースと略)を発売しています。この製品は「自然開口向け単回使用内視鏡用感染防止シース」と「自然開口向け単回使用内視鏡用非能動処置具 エンドシース(チャンネル付き)」いう二種類で構成されています。各内視鏡メーカーが製造販売している耳鼻咽喉科用の軟性内視鏡の患者挿入部分(挿入部)に、ポリウレタン製の滅菌シースを装着して使用します。
後者のシースは、コネクター部分とチャンネル部分が別の二重構造となっており、軟性内視鏡が入る部分の先端はウインドウ部と称して閉じています。したがって、内視鏡の挿入部分を完全に覆いますので、その部分は検査により汚染を受けない構造となっています。鉗子を使用する場合には、内視鏡が入る部分とは別にあるシースのチャンネル部を使用して鉗子を挿入します。
検査終了後に内視鏡が汚染されず、シースを交換するだけで次の患者に使用できます。ただし、内視鏡の操作部分(把持する部位)は覆うことができないため、その部分については検査中に汚染される可能性はあります。
本製品は酸化エチレンガス滅菌もしくはガンマ線滅菌が施してあります。検査中にシースが破損していた場合や内視鏡が汚染した可能性のある場合には、内視鏡の製造販売業者の定める方法にて洗浄および高水準消毒(必要に応じて滅菌)して下さい。
大久保憲(東京医療保健大学/大学院 教授)
2016年05月