すべての血液、体液(湿性生体物質)には感染性があるとして対応することが求められています。すなわち標準予防策に基づいて処理します。
器材の使用後の処理は、その器材がどの様な患者に使用されたかではなく、処理後にどのような使われ方をするかにより再生処理の水準が決まります。手術器材は無菌の領域に使用するクリティカル器材に分類されます。
したがって、手術器械は最終的には滅菌する器材ですので、HCV,HBV感染患者に使用した器材だからと言って、一次処理としての洗浄に消毒薬を使用する必要はありません。洗浄前にグルタラールなどの消毒薬を使用しますと、タンパク質が凝固して除去しにくい頑固な固着を示します。
器材を処理する従事者の安全を守るうえでも、患者に使用した手術器材(器械)は安全な方法で洗浄室へ運搬し、そのままウォッシャーディスインフェクターを使用して洗浄する方法を推奨します。
眼科の手術器材などマイクロサージェリー用器材は、ウォッシャーディスインフェクターが使用できないため、低泡性もしくは無泡性の洗浄剤を使用して超音波洗浄もしくは恒温槽での酵素洗剤を使用した循環式洗浄などがおこなわれています。
そのほか、使用後器材の運搬は密封できるコンテナを使用しますが、作業に際してはプラスチックエプロンと手袋を必ず着用して、必要に応じてサージカルマスクとゴーグルもしくはフェイスシールドの着用をお勧めします。
大久保憲(東京医療保健大学/大学院 教授)
2016年06月