洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

HCV・HBVキャリアの方の清潔ケアで食器・清拭後のタオル・爪切り・おしぼり・入浴の順番(最後に入浴)など、他の患者と区別しなくてもいいのでしょうか?出血があればどのようにしたらよいのでしょうか?(I.U.)

肝炎ウイルスキャリアの方の血液・体液については(1)血液に加え、HBe抗原陽性者の体液には感染性のあるウイルスが含まれる場合が多い、(2)感染性のある血液・体液が皮膚や粘膜にある創から体内に入った場合には感染が起こり得る、ことを知っておく必要があります。

ご質問は高齢のウイルスキャリアを念頭に置かれてのものと思います。高齢のウイルスキャリアの多くはHBe抗原陰性であり、体液にはウイルスの含まれない場合の方が多いです。

従ってキャリアの方の血液が他の方に付着しないように注意する必要があります。皮膚や粘膜にある創はキャリアの方であるかどうかを問わず絆創膏などで被覆する必要があります。体液にウイルスが含まれる可能性が低い以上入浴の順番を最後にする必要はありませんが、出血を伴う創のある場合入浴は避けるべきだと考えます。

タオルやおしぼりは標準予防策の観点から患者・入居者間で共有しないことが原則です。キャリアの方の血液のついた可能性のある衣類に関しては希釈した塩素系消毒薬(ピューラックスの場合50-60倍に希釈)に30分程度漬け置きした後に他の方の衣類と別に洗濯するようにするようにします。

食器に関しては血液の付着がなければ十分に洗い流せば特段の注意は不要です。爪切りに関しては血液の付着が疑われる場合には塩素系消毒薬を染み込ませた布などで十分に拭き取り、十分に乾かしてから使うようにします。

参考文献
ウイルス肝炎感染防止ガイドライン 協和企画出版 2016年

四柳 宏(東京大学医科学研究所附属病院 感染免疫内科 科長・教授)
2016年08月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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