結論から申し上げますと、NICU のリネン類は滅菌する必要はありません。
リネン類は、高頻度接触箇所になりますので、滅菌されたとしても一度開封し、児の接触、スタッフの手に触れることで無菌状態は破綻されます。培養採取しても何らかの菌が検出されるかもしれません。日本でのリネンの洗濯法は、80℃10 分以上の熱水洗浄で標準的に行われています。80℃10 分以上の処理で、セレウス菌などの芽胞以外の一般細菌を死滅または不活性化できます。問題とされるMRSA もこの洗浄方法であれば死滅され、リネンによる感染のリスクは低くなります。リネンよりも環境清掃や手指衛生が適切に行われているかがNICU では重要な対策と考えます。ですので、NICU で使用するリネン類は、滅菌ではなく清潔に管理されているもので十分です。
一度ご施設の洗濯方法を確認してみて下さい。

引用・参考文献

1. 五十嵐隆：新生児集中治療室（NICU） 日本小児総合医療施設協議会（JACHRI）小児感染管理ネットワーク ｐ214～217 2016 株式会社じほう
2. 坂本史衣：新生児集中治療室（NICU）における感染対策 基礎から学ぶ医療関連感染対策標準予防策からサーベイランスまで（改訂第２版）ｐ155～161 2012.南江堂
3. 小林寛伊：ランドリーでの消毒 [新版 増補版]消毒と滅菌のガイドライン 第３版第５刷 ｐ38 2016. へるす出版