洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

院内で、Clostridium difficileやESBLの患者が複数発生した場合、ネブライザーの器具やPEG栄養のライン等の器具類は個別に消毒しています。まとめて消毒して良いでしょうか?(K.Y.)

次亜塩素酸ナトリウム(ヤクラックス?D,ミルトン?など)やジクロルイソシアヌール酸ナトリウム(ミルトン?CPなど)等の塩素系消毒剤を用いておられるとして回答いたします。
次亜塩素酸ナトリウムは抗菌スペクトルが広く、Clostridium difficile の芽胞にも有効です(図)。したがって、0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬法などでは、器具類を感染症ごとに分けて消毒する必要性はありません。まとめて消毒して良いです。C. difficile の芽胞であっても5分以内に死滅します1)
ただし、次亜塩素酸ナトリウムは有機物(汚れ)に弱く、汚れの存在下で急速に効力が消失します。したがって、使用中の次亜塩素酸ナトリウムへの汚れの混入防止に注意を払うとともに、0.01%(100ppm)液は24時間ごとに作り替えてください。もし目にみえる汚れの混入があれば、ただちに作り替えます2)


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引用・参考文献
  1. 尾家重治 他: Clostridium difficile の芽胞に対する次亜塩素酸ナトリウムおよびジクロルイソシアヌール酸ナトリウムの消毒効果.環境感染,27: 119-122, 2012.
  2. Coates D: Comparison of sodium hypochlorite and sodium dichloroisocyanurate disinfectants: neutralization by serum. J Hosp Infect, 11: 60-66, 1988.

尾家 重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2016年11月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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