高水準消毒が施された消化器内視鏡を別の場所に移動させる場合には、蓋つき容器での運搬が推奨されています。その場合の運搬容器の清潔度は、特別な基準はありません。通常は肉眼的に汚染のない容器もしくは新しいビニール袋で構いません。内視鏡運搬時に外部からの汚染が加わらなければ問題ありません。汚染したスコープか高水準消毒済みのスコープかの表示は重要です。
内視鏡検査を実施する場合には、素手で内視鏡本体に触れる場合もあり、術者は未滅菌の手袋を使用してスコープの操作をおこないます。したがって、高水準消毒した内視鏡であっても、無菌的に扱う必要はありません。
患者への使用後は、血液などが付着している可能性があり、高水準消毒をおこなって感染性を無くしておくことが重要であって、高水準消毒後の無菌性は要求されていません。
大久保 憲(医療法人幸寿会平岩病院 院長・東京医療保健大学 名誉教授)
2017年01月