洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

手術室に設置しているポビドンヨードスクラブについてですが、ボトル交換毎にノズルまで交換する必要はありますか。毎回交換する必要がないのであれば、交換頻度の目安もご教示ください。(H.T.)

ボトル交換毎にノズルまで交換する必要はありません。

ポビドンヨード製剤の製品自体の微生物汚染が報告されています1,2)。製造工程での希釈に用いた水に起因する微生物汚染です。しかし、ポビドンヨード製剤の使用中での微生物汚染の可能性は低いと推定されます。なぜなら、ポビドンヨード製剤は幅広い抗菌スペクトルを示すからです。弱いながらも、芽胞にも効力を示します3)。また、回答者は、手術前の手洗い水とともに、手洗い装置に組み込まれたポビドンヨードスクラブの微生物汚染調査を計100サンプルほど行いましたが、本剤の微生物汚染はみられませんでした。したがって、ポビドンヨードスクラブのノズルを毎回交換する必要性はないと推定されます。6か月ごとなどを交換頻度の目安としてください。

表には、消毒薬の微生物汚染の有無について示しました。

表 消毒薬の微生物汚染の有無
分類 消 毒 剤 微生物汚染 備 考


過酢酸 なし
グルタラール
フタラール


次亜塩素酸ナトリウム なし
ポビドンヨード 一部あり
  • 製品自体の細菌汚染が報告されている
アルコール 一部あり
  • 個包装のアルコール含浸綿で芽胞汚染を受けている製品がある
  • 使用中での芽胞汚染もある


ベンザルコニウム塩化物 あり
  • 製品自体および使用中での汚染がある
ベンゼトニウム塩化物
クロルヘキシジン
両性界面活性剤
アクリノール
引用文献
  1. Berkelman RL, Lewin S, Allen JR, et al: Pseudobacteremia attributed to contamination of povidone-iodine with Pseudomonas cepacia. Ann Intern Med, 95: 32-36, 1981
  2. 福井 徹,安斉栄子,原口克介,ほか: Burkholderia cepacia (Pseudomonas cepacia) に汚染されたポビドンヨード製剤に関する報告.環境感染, 10: 36-39, 1995
  3. Oie S, Kamiya A: Combined effects of povidone-iodine and hydrogen peroxide on spores of Clostridium tetani. Biomed Letters, 49: 209-212, 1994

尾家 重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2017年01月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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