洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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軟性膀胱鏡を自動洗浄装置による高水準消毒を行ったあと保管庫への保管でも構わないのでしょうか?また保管後に患者使用の際は再度消毒が必要なのでしょうか?(M.K.)

軟性膀胱鏡を自動洗浄消毒装置にて処理後の保管と再消毒の必要性について。

検査に使用後の膀胱鏡は、直ちに洗浄とブラッシングをおこなった後に自動洗浄消毒装置にて再生処理をおこないます。使用する消毒薬は高水準消毒薬であるグルタラール、フタラール、過酢酸を使用してください。高水準消毒と乾燥が適切に実施できれば、肝炎ウイルスなども確実に不活性化されます。滅菌処理ではありませんので、処理後の無菌的管理は不要です。保管につきましても通常の消化器内視鏡と同様に扉付きの棚に垂直に吊るして保管してください。乾燥装置の付いた棚の場合には水平置き保管でも構いません。

内視鏡の「シェルフライフ(shelf life)」または「ハングタイム(hang time)」(この期間を過ぎると内視鏡を使用する前に再処理が必要となる保管期間)につきましては、明らかになっているデータは少ないですが、消化器内視鏡の例では適切な保管がなされた場合に保管期間7~21日間の汚染はわずかであったとの報告があります。この結果から推測して、軟性膀胱鏡の再使用は、高水準消毒後21日以内であれば安全と思われます。

消化器内視鏡については、最長保管期間としていくつかの団体がhang timeについて見解を示しており、米国周手術室正看護師協会The Association of periOperative Registered Nurses(AORN)では5日間、米国Association for Professionals in Infection Control and Epidemiology(APIC)では7日間を限度とすることが望ましいとしています。


大久保 憲(医療法人幸寿会平岩病院 院長・東京医療保健大学 名誉教授)
2017年03月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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