T字接続管および蛇腹蛇管(以下、人工呼吸回路と略します)の管理は、1患者1つで良いです。しかし、この人工呼吸回路を1日1回交換する必要性はありません1)。汚染時に交換、7日間に1回の交換、および使用しなくなるまで交換しないなどで良いと推定されます。
なぜなら、人工呼吸回路の交換が24時間ごとまたは48時間ごとのいずれであっても、人工呼吸回路内の微生物汚染度や医療関連感染(肺炎)の発症率に有意差がないことが報告されているからです2,3)。また、人工呼吸回路の交換を48時間以上に延ばしても、肺炎のリスクは増大しないことも分っているからです4)。さらに、日本集中治療医学会では、人工呼吸回路を頻回に交換しないとのガイドラインを出しています5)。その理由として、「人工呼吸回路を開放させると、回路内腔を通じた下気道汚染の危険性が高まる。定期的な回路交換は、VAP発生率を高くする。」をあげています。
なお、20数年前までは人工呼吸回路の交換は24時間ごとが推奨されていました6,7)。しかし、現在では人工呼吸回路の交換を「7日間ごと」や「使用しなくなるまで」としている施設が多いようです。
- 引用・参考文献
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- Tablan OC, Anderson LJ, Arden NH, et al: Guideline for prevention of nosocomial pneumonia: Part 1. Issues on prevention of nosocomial pneumonia―1994. Am J Infect Control, 22: 247-292, 1994.
- Craven DE, Connolly MG, Lichtenberg DA, Primeau PJ, McCabe WR: Contamination of mechanical ventilators with tubing changes every 24 or 48 hours. N Eng l J Med, 306: 1505-1509, 1982.
- Goularte TA, Manning M, Craven DE: Bacterial colonization in humidifying cascade reservoirs after 24 and 48 hours of continuous mechanical ventilation. Infect Control, 8: 200-203, 1987.
- Dreyfuss D, Djedaini K, Weber P, et al: Prospective study of nosocomial pneumonia and of patient and circuit colonization during mechanical ventilation with circuit changes every 48 hours vs no change. Am Rev Respir Dis, 143: 738-743, 1991.
- 日本集中治療医学会 ICU機能評価委員会:人工呼吸関連肺炎予防バンドル 2010改訂版. http://www.jsicm.org/pdf/2010VAP.pdf
- Craven DE, Connolly MG Jr, Goularte TA: Results of a survey of ventilator circuit practices in the United States. Infect Control, 5: 353-356, 1984.
- Simmons BP, Wong ES: Guideline for prevention of nosocomial pneumonia. Infect Control, 3: 327-333, 1982.
尾家 重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2017年04月