洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

歯科用機材を食器洗浄機で洗浄使用と考えておりますが、洗剤はどのようなものを使用すればよいでしょうか?(M.M.)

大病院の歯科・口腔外科領域の手術・治療器械は,外科診療における器械同様、洗浄・滅菌して再使用してください。歯科開業医においても同様であることが望ましいのですが、現状には多くの問題を含んでいます。開業医での処置に関しては、開業医として交差感染制御分野の第1人者である田口正博先生のご意見をお聞きください。


小林 寛伊(根岸感染制御学研究所 所長・東京医療保健大学 名誉学長 教授)
2017年05月

結論から申し上げると、歯科領域の口腔内は唾液で満たされており、その唾液を検査すると潜血反応が必ず認められます。したがって、小林先生のご指摘のように歯科領域に使用するすべての器具は食洗器やWDを用いたとしても、必ず洗浄後に高圧蒸気滅菌等の滅菌処理を行うことが大前提です。WDによる対応も熱水消毒ですので滅菌対応ではありません。それを踏まえたうえで、滅菌前の洗浄における食洗器の洗剤についてですが、通常の病院で使用されている噴射型洗浄機用洗浄剤で良いと思います。口腔内撮影用ミラーが中材に回ってきた場合には、噴射型洗浄機で洗浄すると器具がぶつかり合い、傷がつきますので、用手洗浄にて実施願います。また切削器具は中材に回す前に歯科用ユニットで使用直後に20秒間のフラッシングを必ず実施するよう病棟へ依頼願います。その後、切削器具用自動注油装置にて注油後、滅菌へ移行します。このように歯科特有の洗浄方法の注意点がありますが、滅菌が不可欠であることに医科も歯科も変わりはありません。

田口 正博(愛生歯科医院 院長)
2017年5月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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