洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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酸素の延長チューブを外来で使用する場合、(放射線科、リハビリなど)感染面から交換したほうがいいと思うのですが、エビデンスがみあたりません。アドバイスをお願いいたします。(M.H.)

酸素の延長チューブは患者ごとに交換するのが望ましいです。

ご指摘のとおり、酸素の延長チューブの微生物汚染についてのエビデンスが見当りません。そこで、医療機関2施設のご協力のもと、使い回し(共用)していた酸素の延長チューブの微生物汚染について調べてみました。その結果を表に示しますが、8本中6本(75%)の延長チューブが細菌汚染を受けていました。おもな汚染菌は、Burkholderia cepacia(セパシア菌)やSphingomonas paucimobilisでした。これらの細菌は水廻りを好み、自動水栓の水道水、手術時手洗い用の"無菌水"1)、市販(輸入製品)のミネラルウォーター2)、吸入液3)、透析液4)、および低水準消毒薬5-7)などから検出されることが少なくありません。この汚染結果は、これらの細菌が何らかの原因で延長チューブ内腔に付着して増殖したためと推定されます。

また、市販されている延長チューブには、「使い捨て」や「再使用禁止」などの表示があります。すなわち、単回使用医療機器の使い回しは避けるべきです8)

したがって、延長チューブの使い回しは望ましくありません。外来での延長チューブの使用では、患者ごとに使い捨てとするのが望ましいです。

表.酸素の延長チューブの微生物汚染*1
サンプル
no.
菌量*2
(生菌数)
菌種 使用期間
1 1.7×104 Burkholderia cepacia,
Sphingomonas paucimobilis
不明(長期)
2 1.1×104 B. cepacia
S. paucimobilis
不明(長期)
3 8.0×103 B. cepacia
S. paucimobilis
不明(長期)
4 2.8×103 B. cepacia
S. paucimobilis
不明(長期)
5 175 B. cepacia 不明(長期)
6 150 B. cepacia 不明(長期)
7 <25 不明(長期)
8 <25 4日
9(未使用製品*3 <25
*1使い回ししていたものについて調べた.
*2患者側の先端3㎝ の内腔を調べた.
*3ソルターラブ酸素供給チューブ(泉工医科工業K. K. )
引用文献
  1. Oie S, Oomaki M, Yorioka K, et al: Microbial contamination of 'sterile water' used in Japanese hospitals. J Hosp Infect, 38: 61-65, 1998.
  2. Oie S, Matsuzaka Y, Kiyonaga H, et al: Microbiological safety of bottled mineral water in patients susceptible to infections. Shokuhin Eiseigaku Zasshi, 49: 308-310, 2008.
  3. Oia S, Makieda D, Ishida S, et al: Microbial contamination of nebulization solution and its measures. Biol Pharm Bull, 29: 503-507, 2006.
  4. Oie S, Kamiya A, Yoneda I, et al: Microbial contamination of dialysate and its prevention in haemodialysis units. J Hosp Infect, 54: 115-119, 2003.
  5. Oie S, Kamiya A: Microbial contamination of antiseptics and disinfectants. Am J Infect Control, 24: 389-395, 1996.
  6. Oie S, Kamiya A: Bacterial contamination of commercially available ethacridine lactate (acrinol) products. J Hosp Infect, 34: 51-58, 1996.
  7. Oie S, Arakawa J, Furukawa H, et al: Microbial contamination of a disinfectant-soaked unwoven cleaning cloth. J Hosp Infect, 82: 61-63, 2012.
  8. 小林寛伊(編):医療現場の滅菌 第3版,へるす出版,pp. 219-225,2012.

尾家 重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2017年07月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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