注腸造影時でのゴム球は糞便汚染を受ける可能性があり、かつ非耐熱性なので熱消毒を行うことができません。したがって、ゴム球は単回使用とするのが望ましいですが、消毒して再使用するのであれば、効力の強い消毒薬が必要です。大腸菌などの細菌やノロウイルスなどのウイルスのみならず、クロストリジウム・ディフィシルなどの芽胞にも有効な次亜塩素酸ナトリウムを用いてください。次亜塩素酸ナトリウムにはグルタラールやフタラールと異なり、ゴムに残留しないという利点があります。洗浄後に0.1%(1,000ppm)液への30分間浸漬を行います。そしてその後に、材質劣化を防ぐため、十分なすすぎを行ってください。また、糞便汚染を受けていないゴム球であれば、0.01%(100ppm)液へ1時間浸漬する方法でも良いです。その後に十分なすすぎを行ってください。0.01%液への1時間浸漬では、0.1%液への30分間浸漬に比べて材質劣化がより小さいです。
なお、次亜塩素酸ナトリウムであっても、ある程度のゴム劣化作用を示します。したがって、使用開始後のゴム球は1年間以内などに廃棄するのが望ましいです。
尾家 重治(宇部フロンティア大学 人間健康学部看護学科 教授)
2017年09月