レジオネラ症は、ヒト-ヒト感染はありません。レジオネラ菌は、噴水等、ビル屋上の冷却塔、ジャグジー、加湿器などや循環水を利用した風呂にアメーバー等を宿主として生息、増殖しています。1976年7-8月に、フィラデルフィアのホテルで開催された退役軍人の会で集団発生した肺炎で、見つかった菌です。この例は、冷却塔からの飛散水が原因でした。肺炎を起こすものと、発熱中心の軽症なポンティアック・フィーバーとがあります。温泉の湯あたりの様な発熱症例は、確定診断されずに終わってしまうことがあります。
このような感染症で、患者の使った風呂に対する特別な配慮は必要ありません。但し、病院のシャワーにレジオネラ菌が存在していたという報告もあります。手術後の創感染を入浴によって発症したという1例報告もありました。給湯が、熱湯と水の混合によるシステムでなく、熱水でない温水の給湯システムですと、汚染していることがあります。
患者入浴の可否は、臨床症状によるものであり、主治医の判断を仰いで下さい。
小林 寬伊(根岸感染制御学研究所 所長・東京医療保健大学 名誉学長 教授)
2017年11月