洗浄・消毒・滅菌 Q&A

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ニトリルゴム手袋における消毒用エタノール接触による引張耐性の変化. 医療関連感染 2015. 8(1): 35-38. https://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20150826105110.pdfの中で「10分間のエタノール浸漬で強度が弱まった」という実験結果を提示されていました。10分以内ならアルコール過敏職員が手袋の上から消毒するのは許容できますか?(R.T.)

普通の手指消毒は、15秒以上を要しています1)。一方、アルコールによる皮膚障害も、かなり報告されています2)。そのような中で、ニトリルゴム手袋を着用して、患者ケアーをおこない、次のケアーに移る際に、手袋を交換することが確実に実行されているか、また、アルコールによる手袋の消毒を行って次のケアーに移行することが可能ではないかを、念頭に置いた検討結果です。歯科診療所では、日常的に手袋着用のままのアルコ-ル製剤による消毒が行われています。

この様な点から、ニトリルゴム手袋のままその表面の消毒をして、強度の減弱なしに、次のケアー移れる回数の可能性を検討した研究ですhttp://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20171024084941。実験工程に作業の影響が入っていないため、更なる検討が必要ですが、数回までは、ニトリルゴム手袋着用のまま、アルコールによる手袋上からの消毒をおこなってケアーを続けられる可能性を示唆する結果です。

引用文献
  1. 久留野紀子, 小林寬伊, 大久保憲, 比江島欣愼, 梶浦工. 短時間ラビングによる手指衛生. JHAI 2009;2:57-60.
    http://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20150525033238.pdf.
  2. 遠藤博久, 小林寬伊, 大久保憲. エタノール接触皮膚障害症例と交差反応について. JHAI 2009;2:13-17.
    http://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20150525024413.pdf.

小林 寬伊(根岸感染制御学研究所 所長・東京医療保健大学 名誉学長 教授)
2018年01月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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