リハビリで用いるパラフィンは水分活性値(Aw)* が低く、かつ50~55℃に加温して用いるので微生物汚染を受けにくいです。したがって、パラフィンの頻回の定期的な入れ替えは必ずしも必要ではありません。汚れが目立つようになった場合や、6か月や1年ごとなどの交換で良いでしょう。また、機械の頻回の消毒も必ずしも必要ではありません。
リハビリで使用するパラフィンの水分活性値を測定したところ、0.80でした(図)。この値では細菌は増殖できませんし、多くの真菌も増殖できません。すなわち、パラフィンの微生物汚染は生じにくいと推定されます。
*水分活性値(Aw):食塩やブドウ糖などの化合物と結合していない遊離の水分量を示す値である。最大値が1で、この値が大きいほど微生物が利用可能な水分量が多いといえる。0.9以下であれば細菌が増殖できにくくなり、0.8以下であれば真菌も増殖しにくくなる。
- 引用文献
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- Leisner L, Rodel W. "Inhibition and Inactivation of Vegetative Microbes," Inhibition of micro-organisms in food by water activity. Academic Press,London, 1976, pp. 219-237.
尾家 重治(東京医療保健大学 客員教授)
2018年06月