手袋の術中交換時期について
手袋のピンホールについての文献は多数ありますが、交換時期について文献はほとんどなく、WHOやCDCのガイドラインにおいても記載はありません。ピンホールについては、90分間以下の手術では15.4%のピンホールがあり、90~150分間の手術では18.1%のピンホールがあることから、主治医、アシスタント、介助看護師が90分間ごとに手袋交換することを推奨している文献があります1)。
手術用手袋は無菌操作を保証するために手袋を着用しますが、術前に手術時手洗いを実施しても長時間手袋を着用していると内部に細菌が増えてきます。そこにピンホールが生じれば無菌性の破綻になります。また、ピンホールがあった場合、術者、介助者が血液や体液曝露を受ける可能性もあります。
手術用手袋の交換時期については科学的根拠を見出すことはできませんが、ピンホールの観点から一般的に長時間手術では2~4時間で手術のタイミングを考えて清潔操作者の一斉手袋交換をすることが進められていると思います。その他、ピンホールができたと思えば直ちに交換する、3時間以上に手術であればピンホールがあると考え適宜交換することが望ましいと思います。
- 引用文献
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- Partecke Ll, Goerdt AM, Langner I et al. Incidence of microperforation for surgical gloves depends on duration of wear. Infect Control Hisp Epidemiol 2009; 30(5): 409-14.
吉田 理香(東京医療保健大学大学院 教授)
2018年08月