バッグバルブマスクはスポルディングの分類においてセミクリティカルに属します。したがって高水準消毒が求められます。酸化エチレンガス(EOG)滅菌はエアレーション不十分であった場合のEOガスの残留および素材に放射線滅菌された塩化ビニール製部品があった場合の有毒なエチルクロルヒドリンの生成などの問題があります。バッグバルブマスクの多くはシリコン製ですので、オートクレーブが使用できます。
洗浄消毒の手順として、本器材を使用後にまず分解をします。酸素用延長チューブと酸素充填バッグは単回使用製品となっているため再使用できません。マスクとシリコン製バッグ、加圧限定弁付き逆止弁ユニットをそれぞれ外して洗浄します。
洗浄は中性洗剤をぬるま湯にて使用し丁寧に洗浄します。その後流水にて洗浄剤を十分洗い流します。消毒する場合にはセミクリティカル製品ですので熱水消毒80℃ 10分間の処理が推奨されます。高水準消毒薬のグルタラール製剤を使用する場合には、消毒薬の残留に留意して下さい。使用濃度と浸漬時間は使用消毒薬の添付文書に従い、消毒後は水でリンスして十分に濯ぎ乾燥します。
滅菌すべき場合には中性洗浄剤にて洗浄後に流水にてリンスして乾燥させます。それに引き続いてオートクレーブによる滅菌をします。通常は134℃ 5分間から8分間です。シリコンバッグ、シリコン蘇生用マスク、逆止弁セット、エアー吸入アッセンブル、シリコン蛇管は高圧蒸気滅菌可能です。念のためこれらの器材の耐熱性につきメーカーにお問い合わせください。
大久保 憲(医療法人幸寿会平岩病院 院長・東京医療保健大学 名誉教授)
2018年11月