適切な処理方法とは言えません。
汚染物回収コンテナは先ず洗浄が必要です。機器の設置状況にもよりますので、用手洗浄も適応できます。適切な洗浄剤を用いること、周囲への汚染拡散防止及び従事者の曝露防止対策に留意しましょう。
次に乾燥についてですが、高圧蒸気滅菌器の余熱による乾燥は適切ではありません。そもそも、滅菌装置内に滅菌処理をしない物を入れること自体に問題があると考えます。滅菌装置は「滅菌」をするためのものです。乾燥には「乾燥機」を利用しましょう。
次に60℃の乾燥器の使用についてです。60℃の乾熱は、器材を乾燥させて微生物の増殖を阻止するという観点からは有用ですが、消毒効果は期待できません。
参考までに、熱による消毒を行う場合は、65℃以上の熱水や蒸気を用います。熱水消毒の条件(温度・時間)は、A0(エイ・ノート)値※で表示することが出来ます。
※様々な熱水消毒条件を、対数的死滅則を用いて80℃の熱水消毒に換算した時の等価消毒時間(単位は秒)で表示
例えば、A0値600とは、80℃の場合10分(600秒)、70℃の場合は100分となります。
A0値をより低い温度で計算する場合、65℃未満では好熱性微生物の影響を受け値が変動するため、最低温度は65℃とされています。
以上から理解できると思いますが、熱水を用いた場合でも消毒効果を期待するには65℃以上が必要です。それよりも効果が大幅に劣る「乾熱」において消毒効果は期待できません。
汚染物回収と滅菌物返却を同一コンテナで運用する場合、ウォッシャーディスインフェクター(WD)による熱水消毒(80℃・10分)の処理を行えば、十分な消毒レベルに達していますので、乾燥器の使用も可能です(WDに乾燥工程がある場合は不要)。
- 参考文献
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- 一般社団法人日本医療機器学会;医療現場における滅菌保証のガイドライン2015