ご質問のうち、「酒精綿を吸引」は「アルコール液を吸引」に変更させてもらってお答えします。
通水後に口腔内吸引チューブ(カテーテル)内腔へアルコールを吸引すると、消毒ならびに乾燥化という点では効果があると推定されます。しかし、アルコール吸引を行うとコスト高になりますし、吸引後にアルコール液を開栓したままで放置すると引火の危険性があります。また、アルコール吸引を行うと、耐圧チューブ内などに残存している痰などを固まらせてしまう可能性もあります。さらに、NICUなどでの例外を除いて、口腔内吸引チューブには気管内吸引チューブほどの清潔度は要求されません。口腔内は気管内と異なり、常在細菌が多数存在しているからです。したがって、吸引チューブをすくなくとも24時間以内に廃棄することや、通水に用いる容器をすくなくとも24時間以内に廃棄または消毒することが実行されていれば、口腔内吸引チューブを使用のつどアルコール消毒する必要性は必ずしもありません。
なお、ご質問者が現在行っておられる「口腔吸引後酒精綿で拭き取り、通水しチューブを空袋に保管する」という方法ですが、「口腔吸引後に酒精綿で拭き取り、通水してチューブをその水(水道水)に浸しておく」などの方法でも良いでしょう。
尾家 重治(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2019年01月