浴室の脱衣所の床は、糞便や血液などでの汚染がなければ、消毒不要です。水拭きなどの清掃で良いです^1）。
ただし、浴室の脱衣所のバスマット（足拭きマット）の清潔保持には留意する必要があります。なぜなら、バスマットは微生物汚染を受けやすいからです。とくに、構造的に洗濯が行いにくいプラスチック製などのバスマットは、長期間にわたるくり返し使用が行われがちなので、汚染を受けやすいです。図1には、1カ月間にわたるくり返し使用を行っていたプラスチック製のバスマットのMRSA汚染例を示しました。また、バスマットはみず虫（Trichophyton rubrum, T. mentagrophytes など）の温床になり得ることも分っています^2,3）。したがって、バスマットは洗濯が容易に行えるタオル地のものを用いて、すくなくとも1日1回などの頻回の洗濯を行うのが望ましいです^＊。できれば病院内ではバスマットの使用を避けて、患者様ごとに洗濯済みの足拭きタオルで対応する方法が望ましいです（図2）。

＊洗濯方法：70℃などでの熱水洗濯や、リンス工程での0.02％（200ppm）次亜塩素酸ナトリウム添加などで対応する。

引用文献

1. Rutala WA, and the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC). et al: Guideline for Disinfection and Sterilization in Healthcare Facilities, 2008.
2. 丸山隆児，ほか：白癬の感染予防．真菌誌，44: 265-268, 2003.
3. 谷口裕子，ほか：足白癬菌患者からバスマットに散布された皮膚糸状菌の除菌方法の検討．日皮会誌，110:　1289-1293, 2000.